チョウは完全変態といって、青虫・芋虫と言われる幼虫が蛹を経て成虫の蝶になります。幼虫と成虫では生活様式が何から何まで変わってしまいます。幼虫は蛹になる時、本能的に安全に羽化できる場所を探しているはずですが、たまにはとんでもない場所を選んでしまって蛹になることがあるようです。羽化する時、十分に翅をのばせるだけのスペースがないような狭いところとか、羽化したての成虫の脚で掴まりにくい場所であるとか・・・。

今年、既に40あまりの羽化を見ましたが、3例は残念ながら失敗をしています。狭い植木鉢の隙間に落ちて出られなくなったもの、壁から滑り落ちたもの。いずれも気が付いた時には翅がまっすぐ伸び切らず、折れ曲がったまま固まってしまっていました。あとは、もうバタバタしても飛べず、ただ、歩き回るだけ。最初の写真はその1例です。手に乗せると翅をばたつかせながら歩き回るだけでしたが、6歳の孫娘は「これ、可愛い。私に頂戴。」と言って、ひとしきり手の上を這わせて遊んだあと持って帰りました。

幼虫は胸部にチョウ本来の3対の鋭い爪のある脚の他に、腹部には何対かの腹脚というものがあり、アルミサッシやハイムの壁など比較的つるつる滑りそうな人工物でも平気で歩けますが、蛹から出たばかりのまだ体がしっかりしていない成虫の脚では、これらの場所はしっかりと掴まることができず、墜落してしまう危険があります。幼虫時代の自分が選んだ場所であっても、成虫になってからでは筋肉・運動機能は大きく違っていることに気付かなかった結果でしょうか。でも、頭のいいのも中にはいて(上の写真で、アルミ製の手摺で蛹になったもの)、羽化する時アルミには決して掴まらず、自分の抜け殻にしっかり掴まって、完全に翅が伸び固まるまでじっと我慢をしていた。壁の場合はまだアルミよりも凹凸はあろうが、それでも要領の悪いものは成虫としての体が固まりきる前にむやみに動き回り、その挙句に滑り落ちてしまう。羽化が成功するかどうかは、単に運だけなのか、それとも環境に即応できる能力の差があるのか・・・。ちょっと考えさせられました。

(Henk)

参考 蝶図鑑 ジャコウアゲハ

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